砂壁のリフォームの方法は?砂壁を利用するメリット・デメリットをご紹介

更新日:2023年08月30日

更新日:2023年08月30日

昔ながらの和室では、砂壁の内装がよく見られます。おしゃれな風合いで素敵ですが「砂が落ちてくる」などの理由で、リフォームを検討される方が増えています。本記事では、砂壁リフォームの主な手段やメリット・デメリットについてご紹介していきます。

砂壁とは

砂壁(すなかべ)は、和室の内装によく使われる伝統的な壁材です。砂壁は砂や藁などの材料を混ぜ合わせて作られ、壁面に塗り付けられます。天然素材を使用しているため、自然な風合いや温かみがあります。そのため、和の雰囲気や風情を演出することができます。
砂壁は吸湿性と放湿性に優れており、室内の湿度を調節する効果が期待できます。湿気を吸収して室内の空気を清潔に保つほか、乾燥を防いで快適な環境を作り出します。
施工は手作業で行うため、施工者の技術や創造力によってさまざまな模様や質感を表現することができます。経験豊かな職人の技術によって、独自のデザインや模様を取り入れることも可能です。

砂壁リフォームを検討する時期

ここでは、砂壁のリフォームを検討した方が良い時期についてご紹介します。「砂壁をリフォームしようか迷っている…」という方は、判断の基準にしてみてください。

10年経過したらメンテナンスが必要

一般的には「砂壁のリフォームは10年程度が目安」とされています。砂壁は、時間とともに劣化や変色が進んでしまいます。特に、汚れやひび割れが発生しやすいです。10年程度の経過すると、表面の美しさや質感が低下することが考えられます。
定期的に表面の汚れやひび割れを修復することで、美しい状態を維持することができます。しかし10年以上の期間では、住宅や周囲の環境に変化が生じることがあります。たとえば、室内の湿度や温度の変化、建物の振動、シロアリやカビなどの被害などが挙げられるでしょう。
ただし砂壁の寿命は個々の状況や管理方法によって異なるため、必ずしも10年が限度というわけではありません。定期的なメンテナンスや状態の確認を行い、劣化が進んだり修復が困難になったりした場合は、早めにリフォームを検討することが重要です。
砂壁のリフォームは熟練した職人の手によって行われることが多いため、信頼できる施工業者と相談しながら計画を進めることをおすすめします。

ひび割れがある

「ひび割れがある」という状態は、砂壁のリフォームを検討する目安の一つです。ひび割れが大きく深い場合、壁の構造や安定性に影響を与える可能性があります。特にひび割れが壁全体に広がっている場合や、基礎部分のひび割れが見られる場合は注意が必要です。こうしたひび割れが放置されると、建物全体の安全性に悪影響を及ぼす可能性があるため、早めにリフォームを検討しましょう。
またひび割れがある砂壁は、見た目も良くありません。特に和室を客間や応接室として使っている場合には、適切にメンテナンスをして美しい見た目を保つのがおすすめです。
さらに砂壁のひび割れは、湿気や虫の侵入経路となることがあります。ひび割れから湿気が浸入すると、カビや細菌の発生リスクが高まってしまうのです。虫がひび割れを通じて室内に入り込むことで、不快な状況が生じる可能性もあります。リフォームによってひび割れを修復することで、室内の環境を改善し、快適さを保つことができます。

砂が落ちてくる

砂が落ちてくる状態の砂壁は、早急にリフォームをオススメします。主成分である砂や漆喰は、時間の経過や湿度の変化によって徐々に劣化します。このような状態では壁が脆くなり、地震等の衝撃で簡単に崩れたり破損したりする可能性が高まるでしょう。
砂壁が劣化し続けると、壁自体の安定性に影響を与える可能性があります。特に和室を寝室として使っている場合など、人や物が被害を受ける可能性のあるケースは注意が必要です。

また砂壁から砂が落ちてくると、室内の清潔さを保つことが難しくなります。落ちた砂が床や家具に付着し、掃除やメンテナンスの手間が増えます。砂が散乱することで室内の空気中に微粒子が舞い上がり、アレルギーや呼吸器の問題を引き起こす可能性もあるでしょう。
リフォームの方法や範囲は、砂壁の具体的な状態によって異なります。一部の箇所の補修や補強で対処できる場合もありますが、全体の張り替えや壁の補強が必要な場合もあります。

砂壁を利用するメリット

ここでは、和室を砂壁にするメリットを整理しておきます。砂壁が珍しくなっている今だからこそ、改めてメリットを確認しておきましょう。

上質な雰囲気になる

砂壁の和室は、上質な雰囲気になるのが特徴です。砂壁は高級感や温かみ、落ち着いた雰囲気をもたらすことができます。そのため、和風やナチュラルテイストを重視する方には特におすすめです。
砂壁は天然素材である砂や漆喰を使用しているため、自然な風合いや温かみが感じられます。その質感は他の壁材とは異なり、本物の素材ならではの雰囲気を醸し出します。
また伝統的な和室だけでなく、洋風やモダンな空間にもマッチする柔軟性があります。砂壁の表面には模様を描くこともでき、オリジナルのインテリアデザインにすることも可能です。塗り壁と組み合わせれば、さまざまなテクスチャーや色彩を楽しめるでしょう。

防火性能が高い

砂壁を利用すると、防火性能が高まるというメリットがあります。防火性能は、建物の耐火性や安全性を向上させる重要な要素となります。特に木造建築などの可燃性が高い構造物において、砂壁の利用は火災の被害を最小限に抑える効果があります。
その理由としては、主成分の「砂や漆喰」が関係しています。砂は非常に高い耐火性を持ち、漆喰も耐火性がある素材です。そのため、砂壁は自然素材でありながらも防火性能に優れています。

調湿機能がある

砂壁の「調湿機能」は、特に湿気の多い日本の湿潤な気候に適しています。湿度の変動が激しい梅雨時や乾燥が気になる冬季でも、砂壁が湿度を適切に調整してくれます。
砂壁には、周囲の湿度に応じて湿気を吸収したり放出したりする性質があります。湿度が高いときには湿気を吸収し、湿度が低いときには湿気を放出して室内の湿度を調整するのです。これにより、適切な湿度環境を保つことができます。
湿度が適切な範囲に保たれることでカビやダニの繁殖を抑え、室内の空気を清潔に保ちます。そのため、室内環境の品質を向上させる効果があります。また湿度が安定することで、肌や呼吸器にも優しい環境を提供します。小さいお子さまのいる家庭では、特におすすめです。
室内の湿度を快適な範囲に保つためには、砂壁の施工方法や素材の選定が重要です。適切な環境を実現するために、専門の施工業者と相談するとよいでしょう。

砂壁を利用するデメリット

砂壁にはメリットがたくさんありますが、同時にデメリットもあります。具体的なデメリットを確認しておくことで、失敗のない住まいづくりに生かしましょう。

掃除の手間が掛かる

砂壁を利用する際のデメリットとして、「掃除の手間がかかる」という点があります。砂壁は天然素材であるため、表面に凹凸や粗さがあります。このため埃や汚れが付きやすく、掃除がしにくいのです。
また砂壁は多孔質な素材であり、汚れやシミが簡単に染み込んでしまう傾向があります。特に液体や色素のあるものがこぼれた場合、お手入れが大変です。砂壁の表面は繊細なので、一般的な掃除方法や洗剤を使用するだけでは傷や変色の原因になる可能性があります。砂壁の掃除には専用のブラシや柔らかい布を使用し、優しく拭くなどの特殊な手法が必要です。
砂壁を採用する際は掃除の手間や頻度についても考慮し、ライフスタイルに合った選択を行うことが大切です。

施工時・リフォーム時の費用が高い

砂壁の施工やリフォームは、一般的な他の壁材に比べて費用が高い場合があります。砂壁に使用される素材は、天然素材や特殊な加工が施された素材です。これらの素材は他の壁材と比較して高価であり、そのコストが施工費用に反映されてしまいます。
また砂壁の施工には、専門的な技術と手間が必要です。砂壁の下地作りや仕上げ作業は繊細かつ複雑であり、経験と熟練を要するため、それに見合った専門家の技術料が必要となります。
工期に関しても、通常の壁材と比較して施工期間が長くなることがあります。長い工期は作業時間や職人の労力を要するため、それに伴って施工費用もコストアップします。
砂壁の施工やリフォームでは、予算に余裕を持って計画する必要があります。砂壁を採用する場合は、材料費だけでなく工事費用なども含めたコストパフォーマンスを判断することが重要です。

インテリアの選択肢が制限される

砂壁を採用する場合は、特有の質感や和風の雰囲気に縛られてしまう可能性があります。インテリアの選択肢が制限されることを理解し、和風や和モダンなテイストに合った家具や装飾品を選ぶ必要があるでしょう。砂壁は自然素材であるため、壁面に装飾や塗装を施しにくい場合があります。
砂壁の表面は粗い質感を持っているため、壁紙やタイル、クロスなどの貼り付けが難しい場合があるのです。そのため砂壁を採用すると、壁面の仕上げや装飾の選択肢が制限されることになります。
砂壁は日本の伝統的な建築スタイルによく用いられる素材であり、和風や和モダンなインテリアスタイルにマッチする傾向があります。一方で、他のインテリアスタイル(モダン、ヨーロピアン、コンテンポラリーなど)との相性はあまり良くありません。砂壁を採用すると、特定のスタイルに合わせたインテリアデザインを選ぶ必要があるでしょう。

砂壁をリフォームする手段

ここでは、実際に砂壁をリフォームする際の具体的な手段をご紹介します。

①砂壁を塗り直す

「砂壁を再び砂壁に塗り直す」というパターンです。この方法では既存の砂壁の表面を補修し、新たな砂壁の仕上げを行います。
リフォーム前の砂壁にはひび割れや凹凸が生じている場合があります。まずは、これらの欠陥を補修します。補修には石膏やセメントモルタルを使用し、表面を均す作業が含まれます。砂壁の下地には防湿シートや下塗り材を施し、耐久性を向上させます。必要に応じて、防カビ処理も行われます。
補修した表面に、新たな砂壁の仕上げを施します。砂壁の仕上げには砂や珪藻土を主成分とした材料を使用し、均一な厚みで表面を塗りつけます。仕上げの際には、好みの質感や色合いをデザインすることも可能です。砂壁の塗り直し後、仕上げの保護や美観のために、仕上げ剤や塗料を使用して仕上げ処理を行います。これにより、砂壁の耐久性や防汚性を向上させることができます。

②壁紙クロスに変更する

砂壁をリフォームする手段として最も多いのが「壁紙クロスに変更する」という方法です。既存の砂壁の表面に壁紙クロスを貼り付けることで、和室から洋室に変更できます。
まずは砂壁の表面を均一に整えるため、凹凸やひび割れの補修を行います。砂壁の状態によっては、石膏やセメントモルタルを使用して補修することもあります。 砂壁の下地に下塗り材を施し、壁紙クロスの密着性や耐久性を高めます。下塗り材は、砂壁の素材や状態に合わせて選定します。
下地が乾燥したら、選んだ壁紙クロスを砂壁に貼り付けます。壁紙クロスは、デザインや素材の種類によってさまざまな選択肢があります。貼り付けは注意深く行い、シームレスな仕上がりを目指します。最後に接合部分やコーナー部分の処理を行い、美しく仕上げたら完成です。また、壁紙クロスに合わせて塗装やシーリング処理を施す場合もあります。

③珪藻土に塗り替える

珪藻土は天然素材で、調湿性や吸臭性に優れている内装材です。おしゃれで洗練された見た目になり、健康的な居住環境も実現できます。
最初の下地処理が完了したら、珪藻土を塗ります。珪藻土は粉末状であり、水と混ぜてペースト状にした後、刷毛やスポンジで壁面に塗布します。塗る回数や厚みは、壁の状態や好みに応じて調整します。
珪藻土を塗った後は、しっかり乾燥させます。乾燥には時間がかかる場合がありますが、しっかりと乾燥させることで耐久性や効果を保ちます。乾燥後、仕上げのために研磨やワックスなどの処理を行うこともあります。

④漆喰に塗り替える

砂壁をリフォームする手段として「漆喰に塗り替える」という方法があります。漆喰は自然素材であり、呼吸する壁として知られています。珪藻土と漆喰は似ていますが、漆喰の方が強度に優れています。水回りや屋外にも使えるため、幅広い用途があるのが特徴です。

まとめ

本記事では、砂壁をリフォームする方法についてご紹介してきました。砂壁は和の伝統的な雰囲気があって素敵ですが、デメリットもあります。築年数の経った住宅の場合は特に、ほかの壁材にリフォームすることも検討されてみてはいかがでしょうか。

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